このExperimental Audio Reportシリーズは、様々な日々の実験サウンドの結果を、編集を加えずに丸ごと報告していく主旨でスタートさせた。
そもそも作品とは何か、音楽とは何か、意思とは何か。
それは結局日々の活動に常にダイレクトに現れている。
編集され手を加えられた作品も僕は好きだが、 このシリーズのように、通常ならカットしてしまうような場面も丸ごと含む録音物も、僕には堪らないのである。
20歳代の頃フルクサスやサウンドアート系の、当時の実況録音盤のような作品を聴きあさった結果、環境音を含む録音物の芳醇さが僕の体の中にインプットされてしまった。
当時の場の空気、時代の音を感じられるし、何よりも意図しない音がうごめいているその実況を想像する行為が、好きになってしまったのである。
そして、そういう実況録音をそのまま「作品」として扱う作家の意思そのものに敬意を抱くようになった。
それは通常言われる「ライブ盤」とは違う、自分の意図の外にある音そのものに意識を持っている証拠だと僕は感じている。それは、自分の出した音/作品に固執しない、本当の意味での開けた皮膚感覚だと思うから。
そして「実験」は常に「発見」をするための「過程」であり、安易に最初から自己設定した完成形に囚われない、途中経過にこそ芳醇な瞬間が溢れているのではないか。
失敗も成功もない、その「行為の記録」そのものを作品として扱ってもよいではないか。
VLZリリースにある「ライブ」盤にも、僕のその感覚は反映されているが、この実験結果報告シリーズでは、より顕著に実況感覚を押し出していこうと思う。
とはいえ、最近の録音機器の性能向上、また毎月実験活動ライブをしている場所自体の環境が非常に良いため、まるでライン録音したかのようなレコーディングが出来てしまったりするのであるが。
(E.A.Rシリーズ解説文より)

E.A.R0001/CDR
VELTZ/OR
¥1050
SOPRANO SAXOPHONE : YUKO ANDO
ALTO SAXOPHONE : FUMIO ENDO
ALTO SAXOPHONE : TOMOHIRO HIGASHIKINJO
TENOR SAXOPHONE : MoM
BARITONE SAXOPHONE : KOUTAROU ASANO
VIOLIN : TAKASHI ISHII
2010/01/09 江古田フライングティーポットでのヴェルツオーケストラ初演/録音。6人のサックス奏者と1人のヴァイオリン奏者のための小曲。 収録時間17分44秒。